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画像は「もう黙ってられない! 原発なくせ! ちばアクション」様から拝借

製薬会社の戦略転換がフクシマの復興ビジョンとリンクした

朝日がん大賞に山下俊一さん 被曝医療に貢献

なぜ山下俊一は、こんなときに、とってつけたように朝日がん大賞を受賞したのでしょう。

新聞社は「読者目線」が欠落しているのではないかとか、そんな単純なことではありません。もう少し深いところに、私たちにも分らない理由があるのです。

朝日がん大賞とは、公益財団法人・日本対がん協会の特別賞。
朝日新聞社が後援しています。

その日本対がん協会の「平成23年度の受賞者」のページに、このように紹介されています。

【朝日がん大賞】
福島県立医科大学副学長

山下俊一(やました しゅんいち)59歳

…1991年 以降はチェルノブイリ原発事故後の学童検診を現地で主導。

約20万人に及ぶ甲状腺検診から、放射性ヨウ素内部被曝による小児甲状腺がんの激増を科学的に明 らかにすると同時に、早期発見と早期治療体制の確立に尽力した。

…そして海外ヒバク シャの集団コホートの登録・生体資料収集バンク構築などに結実し、今後の包括的がん研究と患者還元型研究の世界的なモデルと評価される。

また、今年7月からは福島県立医科大学副学長にも就任。

新たな放射線医療科学の世界拠点と体制づくりの中心的存在として、注目される。


山下の受賞理由の中で、彼の功績とされる部分だけを抜き出すと、このようになります。
受賞に値するほどの研究実績なのでしょうか。

もっとも目立つのは、新たな放射線医療科学の世界拠点と体制づくりの中心的存在の部分であり、彼がガン市場の拡大に「貢献した」、もしくは「これから貢献するであろう」という期待を込めた言い方に受け取れます。

山下が、というより、この日本対がん協会の目論みがどこにあるのかを探っていけば、山下の受賞理由がより明確になります。

日本対がん協会には、いろいろ不審な点があって、過去にも少し触れています。
(このブログの左サイドメニューのいちばん上にある検索フォームに〔日本対がん協会〕と入れて検索すると関連記事が出てきます)

日本対がん協会は、以前、日本ユニセフの大使を務めていたアグネス・チャンを広告塔に使っています。
日本ユニセフとは、東日本大震災の詐欺まがいの義捐金問題を巡って問題となった、あの、胡散臭い団体です。

みなさんの記憶に新しいのは、3月11日以降、震度5の余震が続く中でも、仁科亜季子親娘の「子宮頸がん検診の勧め」のキャンペーンCMを10分に一回ずつの割合で流し続けていた団体です。

このCMには、どれだけ嫌な思いをさせられたか。
これが何と2~3週間も続いたのです。

この一連のシリーズ広告は、あまりの不評に、とうとう打ち切られたのですが、以来、この団体に対して向けられる疑惑の目は多くなりました。
少なくとも、あのCMは洗脳広告であることは間違いのないことです。

ガンという病気をマーケット(市場)の側面から捉えるとはっきりします。

日本では、市販薬(風邪薬、下痢止め、頭痛薬などの大衆薬)以外は、ユーザーに直接広告をすることができません。
ガン治療薬などは、一歩間違えれば副作用で重篤な状態に至るというようなこともあります。

こうした医師の診断を経由して調剤薬局でしか入手できない処方薬をプロモーションするためには、どの薬を処方するか決定権を持っている医師に対してPRないし、セールス・プロモートをかけます。

ここでPRというのは啓蒙のことであり、セールス・プロモートというのは製薬メーカーの営業マン(MR=医薬情報担当者)が病院の医師を訪れて新薬の説明をしたりする行為のことです。

問題はPRですが、処方薬の場合はテレビCMや新聞広告、もちろんネット広告も同様にエンド・ユーザー向けに広告を打つことが禁じられています。

エンドユーザーに直接訴求する広告のことをDTCA(direct to consumer advertising)といって、これが認められているのはアメリカニュージーランドだけです。

といっても、エンドユーザーである患者自身が自分に対して医師が処方する薬を選択できるはずもなく、テレビCMを打ったところで、病気の啓蒙広告の枠を出ることはできません。

最終購買決定権者でない患者にいくら広告を打ったところで、製薬メーカーの売り上げに反映されることはないからです。

しかし、最近、PTCAが認められているアメリカ、ニュージーランドでも、薬の効能について必要以上に効き目があるかのように訴えるPTCAが増えてきているといいます。

こうなると、患者の側から「先生、今の薬を止めて、テレビCMでやっていた薬に替えてください」なんて言い出しかねないことになります。

やがて、それは患者と医師の信頼関係を蝕んでいき、もっとも適正な医療を施すことが難しくなってきます。
もちろん、こうしたケースは、その医師が信頼に値する優秀な医師であることが前提となる話ではありますが。

しかし、製薬会社は、なんとかしてエンドユーザーに医薬情報を届けたいと思います。

日本の場合は、処方薬をテレビCM、大手新聞広告などのマスメディアを使って広告はできませんから、「病気」そのものをプロモートすることになります。

「そろそろお腹が気になりませんか 成人病に注意」、「日本人の潜在的な糖尿病は1000万人です」、「子宮頸がんの検診に行きましょう」、「がまんしないで(うつ病)」というような公共広告といわれる啓蒙広告を展開します。

そして、今までこうした病気に関心などなかった人たちも、心配になって病院に行くようになります。
こうして製薬の潜在市場ができ上がっていくのです。

病院の来院率が高くなれば、そこで消費される薬剤の量も増えることになるからです。

本質はセールス・プロモーション広告に近いものなのですが、表現上、公共広告という体裁を取ると、処方薬の名前などは出せなくても、市場の裾野は広がっていくのです。

では、どのように合法的に広告展開するか。

この場合、製薬メーカーが直接、日本対がん協会に広告費の原資となる資金を提供すれば利益相反が生まれます。そこで、製薬メーカーが作っている別の公共性のある団体を経由して、日本対がん協会に運営資金を提供したりすることがあります。

そうすれば、主に表現を規制する薬事法はもとより、利害抵触についても規制する健康増進法に触れずに済むわけです。
この方法は、実はNPO法人の活動原資を捻出する手段として、活用されています。

特定の企業の利益にダイレクトにむすびつかない公益性のある啓蒙活動なら、厚生労働省もOKというわけです。

そこで、たとえば、抗ガン剤を作っているような製薬メーカーは、ガン市場の掘り起こしにつながるような啓蒙活動を行います。

その場合、日本対がん協会のような公益団体がテレビ、新聞を使って「ガン撲滅キャンペーン」を展開します。仁科亜季子親子は、子宮頸がん撲滅キャンペーンのイメージ・キャラクターに起用されました。

この親子は、テレビCMで「子宮頸がんワクチンを接種しましょう!」とは呼びかけません。
「子宮頸がん検診に行きましょう!」と呼びかけるのです。

すると健康な人でも心配になって、ガン検診に行く人が増えます。そして、病院に対するロイヤリティが高まる、というわけです。

同時に、子宮頸がんワクチンを開発・販売している製薬会社は、医師に直接、子宮頸がんワクチンをプロモートします。
MRという製薬会社の医薬情報担当者(医薬情報に詳しい営業マン)がいろいろな病院の医師のもとに直接訪問して、自社の製薬やワクチンの素晴らしさを説いて回ります。

これで、子宮頸がんワクチンの接種率が上がっていったり、処方薬の売り上げを伸ばすことができます。

もっと分りやすいのは、禁煙キャンペーンです。

日本対がん協会は、今年の分は終了しましたが、毎年「らくらく禁煙コンテスト」をやっています。
一般の人が参加して、禁煙できるか競うというものです。

「日本対がん協会は、世の中に役に立っているねぇ」と、すぐに考えてしまった方は、「いいカモ」にされます。

主催者の日本対がん協会は、「こんなことで禁煙などできこっない」ことを知っているのです。
「らくらく禁煙コンテスト」の目的は、禁煙にチャレジすることを促すことではなく、「喫煙者に、自分の力では禁煙できないことを嫌というほど思い知らせること」にあるのです。

結局、このコンテストは、「しょうがない。禁煙するには、病院の禁煙外来に行くしかない」と病院への来院を促すものなのです。
そして、病院では禁煙補助剤のチャンピックスを処方されるのです。

チャンピックスは劇薬ですから、禁煙達成率が高い分、脳内のセロトニンの分泌に影響を与えたりして、うつ病になる可能性もあるので、医師の処方なしには一般の人が使用することはできません。

今まで、タバコの購入に充てていたお金は、こうして回りまわって製薬会社の懐に入るという仕組みです。

しかし、こういう病気の啓蒙広告は、悪いことではありません。
「タバコなんか、いつでも止められるさ」と軽く考えていた人にとっては、日本対がん協会の「脅し広告」は禁煙のきっかけを作ってくれます。

禁煙外来に行かなくても、禁煙パイプや、禁煙グッズで禁煙にチャレンジしてみようかという話なります。
両方とも、体にはよくありませんが、セシウムタバコを吸い続けて、肺の中がミニ・ホットスポットだらけになるよりは、いいかも知れません。

でも、私がAC ジャパンや、日本対がん協会の職員で、なおかつ本当に公益に資することを考えるとしたら、こんな遠まわしなことなどせずに、タバコのパッケージ・デザインを、こんな奇抜なデザイン(閲覧注意や、こんな斬新なデザイン(これも閲覧注意)に変えるようタバコ会社に強く要請します。

結局は純粋な公共広告などというは、政府関係のもの以外、そもそも存在しない、ということです。しいて言うなら、政府広報の一環として展開される公共広告でしょうか。

で、なぜ山下俊一が、なぜ朝日がん大賞を受賞したかについて。

この背景には、製薬会社の大きな戦略転換があります。

製薬会社は、2008年頃までは抗がん剤と生活習慣病薬の販売で売り上げを伸ばしてきました。
しかし、2009年頃からは、先進各国は少子高齢化などで医療費抑制の方向に傾斜、各国の生活習慣病薬市場のパイの伸びは止まったまま。

そこで、まだまだ上昇余力の大きい抗がん剤市場に一斉に舵を切ったのです。

日本の大手製薬会社の中には肥満防止薬の開発を途中で打ち切って、抗がん剤の開発に振り向けたところもあるほど。

各社の抗がん剤にかける意気込みは並々ならぬものがあり、山下俊一が福島県でやろうとしている県民の一斉健康調査は、それ自体が製薬会社の目から見れば、啓蒙PRになっているのです。

抗がん剤といっても、副作用の少ないバイオ製薬も開発できているので、長期間、服用しなければならない患者にとっても朗報になるのではないでしょうか。
【日経新聞 9月20日付  製薬大手、抗がん剤開発に重点 M&Aで新薬候補取得】

きっと福島の復興ビジョン計画に、国内外の製薬会社が、何らかの協力をするはずです。
○○製薬会社の「協賛」、「共催」、「後援」といった文字が新聞紙上に躍るでしょう。

山下俊一という人間が、良かろうが悪かろうが、福島に全国の人たちの関心を集めるには格好の人間です。
朝日がん大賞は、そういう視点で捉えるといいと思います。

でも、山下俊一に関係があるのは、テレビ、新聞に直接広告を展開できない(PTCAになるため)ガン治療薬。
朝日がん大賞に後援している朝日新聞社には抗がん剤の広告が出稿されることはないのだから何のメリットもないのでは? という問いかけが出てきます。

そうではなく、大衆薬(風邪薬、鎮痛剤、下痢止め、目薬、滋養強壮ドリンクなど)といわれる家庭用医薬品や、医薬部外品の広告を出してくれている製薬会社へのクライアント・サービスになり、次の広告出向につながるという狙いもあるからです。

特に朝日新聞は今後、抗がん剤の開発動向や、どんな抗がん剤が認可され、上梓されたのか、他紙より詳細に取り上げていくはずです。

朝日新聞は、抗がん剤市場を盛り上げるため、山下俊一というある意味“旬”の男を起用したに過ぎないのです。

いずれにしても、これから私たちは、福島の被曝者たちが、ヒロシマ、ナガサキの被爆者に対してABCC(現・放射線影響研究所)が行ったような惨い扱いを受けないように監視し続ける必要があります。

ヒロシマ、ナガサキの被爆者に対しては私たちは、大して関心を払ってきませんでした。
そのせいで、ヒロシマ、ナガサキの被爆者の人々は長い間、苦しめられてきました。

今度こそ、フクシマの被曝者たちに、そのようなことがあってはならないのです。
これは安値のヒューマニズムで言っているのではなく、フクシマ以外の場所に住んでいる私たちにも当てはまることだからです。

そうです、確かに被曝させられました。
程度の差こそあれ、私たちは、これからずっと放射能に汚染された食物を否が応でも食べ続けなければならないのでしょう、おそらく。

ヒロシマ、ナガサキの場合と違って、私たちの内部被曝は、これからも続くからです。

セシウムひとつ取っても、3月の時点ですでに広島に投下された原爆の168倍もの量が降り注いだのです。



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